
「0から事業を作るより、早く始めるべき」。研修後の伴走支援が開始からまもなく7件立ち上がった
社会福祉法人向けの生成AI研修を3年にわたって手がけてきた株式会社For Two様。研修では応えきれない「仕組みを入れたい」という相談に応えるため、現場に入る伴走支援を立ち上げ、いまは6〜7件が並行して動いています。
お話を伺った方
水口様
株式会社For Two(For Two Inc.)代表取締役。2022年の創業以来、組織開発プラットフォーム「Willoop」と、福祉業界向けのAI導入支援「Yutoria」の2つを軸に事業を展開。Yutoriaは「福祉現場に、挑戦の余裕をつくる」を掲げ、高齢・障害・保育の各分野の社会福祉法人に対して、生成AI研修と現場への伴走支援を提供している。自身もエンジニア出身で、事業の立ち上げ期には研修の講師として現場に立った。
抱える課題
社会福祉法人向けの生成AI研修を3年ほど続ける中で、受講した法人から「仕組みそのものを入れたい」という相談が出るようになっていた。職員のリテラシーを上げたいという相談には研修で応えられる。一方で、理事長がすでに生成AIを使いこなしていて、職員が自然と使わざるを得ない仕組みをつくりたい、という相談には、研修という形では応えきれなかった。
効果
- 研修に続く伴走支援を事業として立ち上げ、現在6〜7件が並行して稼働。既存の研修先へのご提案から受注につながっている
- 支援先の社会福祉法人では、1週間ほどかかっていた議事録と倫理委員会関連の作業が、数時間で終わるようになった
事業の背景:3年通ってきた福祉の現場で、研修では応えきれない相談が増えた
Q. まず、For Two様の事業について教えてください。
創業して5期目に入ったところです。福祉業界向けのAI導入支援を「Yutoria」という名称で展開しており、その中で社会福祉法人に特化したのは、AI事業を始めてすぐのことでした。もう3年ほどになります。
当初のメインは研修でした。私自身がもともとエンジニアですので、はじめは自分が講師として登壇していました。知識に差がある部分をお伝えしていく、というところからのスタートです。
Q. 研修を続ける中で、どのようなご相談が出てくるようになりましたか。
ご相談の内容が、大きく2つに分かれるようになってきました。ひとつは「社内のAIリテラシーを上げたい」という課題です。こちらには研修が有効です。もうひとつは、理事長ご自身がすでに生成AIを使いこなしていて、「もっと仕組みを入れていきたい」とおっしゃるケースです。職員のリテラシーを上げるというよりも、仕組みをつくり、職員が自然とそれを使う状況をつくりたい、というご要望です。
こうしたご要望には、研修という形では応えきれません。ちょうど社内でも、お客様との接点が研修で終わってしまうことが多く、それは避けたい、という話をしていた時期でした。

立ち上げるまで:0から作るか、早く始めるか。決め手はスピードだった
Q. もともとは、自社で進めようとされていたと伺いました。
はい。自社の講師を派遣し、内部からDXを進めていく形を、研修を終えたお客様に提供しようという話をしていました。ちょうどその時期に、研修事業でお付き合いのあった方から「そうした座組みがあるので、一緒にやりませんか」とお声がけをいただいた、という順番です。当時はまだFDEやAI Opsといった言葉が使われる前でしたが、そうした流れが来るだろう、という話はしていました。
Q. 自社で組み立てる案と比べて、どこで判断されたのでしょうか。
自社で進めるとなると、仕組みをつくるところから、あらゆることを自分たちで担わなければなりません。そこに相応の労力がかかると考えました。ゆくゆくは自社でもできるかもしれませんが、もともと研修の事業がありましたので、0から構築するよりも、すでにある仕組みを使わせていただいたほうが、事業の立ち上げまでのスピードをはるかに早められると判断しました。
Q. 人を探し、選び、案件に合わせて進行を管理する。その一連を外部に委ねられる、ということでしょうか。
そのとおりです。そこをまるごとお任せできますので、スピードの面でも利点がありました。
Q. 実際に立ち上げていく中で、どこが最も効果的でしたか。
立ち上げの時期に、一緒に面談へ入っていただけたことです。ここは大きかったと思います。弊社の営業担当も高く評価しており、次の商談にも入っていただこう、という具合に、進めやすそうにしていました。
Q. どのような点が、進めやすさにつながったのでしょうか。
売り込みをされないところが大きいと思います。弊社の営業担当は「占い営業」と呼んでいるのですが、お客様の課題を親身に伺い、忌憚のない意見を述べていく。クロージングは弊社の営業に任せて、ひたすら相談に乗ってくださいます。経営やマネジメントを理解している方が、純粋に相談相手になってくださる。入っていただけると安心だ、というのは営業担当もよく口にしています。
Q. そこから案件が積み上がり、現在は6〜7件が並行して動いている状況でしょうか。
そのとおりです。研修を担当させていただいた法人へのご提案が中心ですが、事業としては立ち上がったと考えています。

お客様に起きたこと:1週間かかっていた作業が、数時間で終わるようになった
Q. 最初のお客様は、どのような経緯で決まったのでしょうか。
もともと研修を担当させていただいていた法人です。この事業を始める前からのお客様ですので、この構想を前提に始まったお客様は、まだいらっしゃいません。ただ、時期も重なり、「こうした取り組みを始めました」とお伝えしたときの反応は、やはり良いものでした。
Q. 支援先では、実際にどのような変化が起きていますか。
高齢者福祉を手がけている法人様では、議事録と倫理委員会に関する作業が、1週間ほどかかっていたものが数時間で完了するようになりました。ほかにも、シフト作成にかかる時間が大幅に短縮されたというお声をいただいています。
ここは、さらに高めていきたい部分でもあります。「これは導入したほうがよい」とお客様に確信していただけるところまで、満足度を上げたい。そこまで到達すれば、一緒にセミナーを開催しませんかとお声がけしたときに、それなら周囲の理事長にも声をかけよう、という広がり方をしていけると考えています。

福祉業界でAIを進めたい法人へ:現場に、挑戦の余裕をつくる
Q. これから同じように事業を広げようとしている企業へ、一言いただけますか。
以前から申し上げているのですが、提案の幅が大きく広がりました。AIの領域では研修を手がけていますが、今後はAXやFDEといった方向へ事業を展開していきたいと考えています。その幅が広がることの意義は大きいと感じています。
Q. 事業として目指すところを教えてください。
福祉業界に時間の余裕をつくる。それがこの事業のビジョンです。ITリテラシーが高い業界とは言えませんが、AIが当たり前にある状態にしていき、職員の方の時間に余裕をつくっていきたい。伴走支援の事業単体というよりは、それを含んだYutoriaという、福祉業界向けのAI導入支援全体としてのビジョンです。そこには研修も含まれますし、今後つくるかもしれないコミュニティも含まれてくると思います。
── 福祉の現場に余裕が生まれていく。その過程に、引き続き私たちも並走していければと思います。インタビューさせていただき、本当にありがとうございました。
